最終更新日:2022年11月15日

夜尿症(おねしょ)

➀「医学的解説」

(1)病態

5歳過ぎてもおねしょのために夜のおむつがとれない、正確には5歳過ぎても3か月以上、月1回以上のおねしょ(夜尿)が続いた場合には夜尿症という状況になります。

主な原因

おねしょ

睡眠中のおしっこの生産を抑えるホルモンが少ないため大量におしっこを作ってしまう、睡眠中の膀胱の動きをコントロールすることが出来なくて、膀胱の中に尿をためておくことができない、睡眠が深すぎて尿意(*おしっこを出したくなる気持ち)に気づきづらい等が原因としては主だったものです。

小学校入学前のこどもの10%程度にみられるとされ、決して珍しいものではありません。

脳と膀胱の成熟、いわゆる成長に伴って改善していきます。(これを“一次性の単一性夜尿”といいます。)

夜尿症の2つのタイプ

注意しなければいけないタイプの夜尿症は2つのタイプがあります。

ひとつはおむつがとれていた期間が6か月以上空いていたのに、再びおむつが必要になってしまった夜尿症です。この場合は二次性夜尿と呼ばれます。

ふたつめは、起きている昼間の排尿状況に何かしらの異常がある場合です。これは非単一性夜尿と呼ばれます。

この両者のどちらかにあてはまった場合、何かしらの病的な背景が基になっている可能性が高いため、早期の病院受診をお勧めます。

ここでは一次性の単一性夜尿、いわゆる典型的な「おねしょ」の経過について説明をしていきます。

(2)症状

入眠中の自覚ない排尿であるため、本人に症状はありません。

近年は夜尿症があるこどもはそれがないこどもたちに比べ、自分自身に自信が持てないと評価してしまう(=自尊心の低下)こどもの割合が多いとされております。

(3)検査・診断方法

一次性の単一性夜尿症の診断は問診ならびに診察、尿検査でおこなわれるため、難しいものではありません。

医療的介入(生活指導・薬物療法等)により改善が乏しい場合や、二次性夜尿の一部や、非単一性夜尿の場合には超音波検査等を含めた精密検査がおこなわれることがあります。

(4)治療法

まずはこどもに、夜尿は悪い病気ではなく、自分に何か問題があって起こっているものではないこと、実は同じようにたくさんの子が自分と同じような夜尿という状態にあること、成長と共に消えていくものであることを伝え安心感を与えましょう。

日常生活でのアドバイス

日常生活でのアドバイスとしては、水分は日中になるべく取るようにする、就寝前2時間前に夕食を済ませ、寝る前の水分をコップ一杯程度までに抑える、入眠前に完全排尿させる、遅寝をさける、中途覚醒をさせない等のこどもと家族が達成できる指導を行います。

これらの指導を行った後3~6ヶ月で改善に入らなければ、個々にあった治療導入をおこなっていきます。

➁「早期発見のポイント」

前述のいわゆる一般的な“おねしょ”(一次性の単一性夜尿症)の早期発見は難しくありません。

おねしょの程度は、着ているパンツが濡れる程度から敷布団まで濡れてしまうレベルまで様々です。

おとうさん、おかあさんに夜尿症の既往がある場合にはこどもに夜尿症を発症する可能性が高くなります。

おばあちゃん、おじいちゃんに聞いてみるとよいかもしれません。

とれていたはずのおむつが再び必要になった場合や、昼間の排尿になんらかの異常を伴う場合(*通常昼間のおむつは3歳半までにとれます。)は、こども本人が気にしなくても早期に病院に受診をするようにしましょう。

尿こらえ姿勢を取っていないか

またおしっこが上手く出せない子に、起きているときにみられる尿こらえ姿勢(踵を会陰部(おまたの部分)に抑えるようにして座り込む、足を交差させて尿をがまんする、不必要なときにつまさき立ちをする)は親御さんからみると、意外と只の“くせ”と捉えられていることがあります。

このような体勢をとっている場合は、かかりつけ医に相談をしましょう。

おもらしを悔やんでいる、悩んでいる様子があるか

一次性の単一性の夜尿症は大多数のケースで、年齢とともに自然によくなります。ただ前述のとおり、おねしょをする自分を恥じる、夜のおしっこに失敗している自分を責める等の理由より自分に自信をもてなくなるケースがあります。

こどもが小さいときは周りが指摘しなければ、本人がおもらしを気にすることはありません。

成長の中で、おもらししたことを悔やんでいる、悩んでいるような様子が生活の中でみられたら、そのときはそっと声をかけてあげてください。

かかりつけ医への相談のタイミングとなります。

③「予防の基礎知識」

いわゆるおねしょを予防するためには具体的に何を行えばよいかということは実はまだはっきりとわかっていません。

脳と膀胱機能の成熟により自然と良くなっている事は分かっているので、病気というよりは、こどもの成長過程の中でのちょっとした困りごとが続いているというイメージでよいと思います。

予防策① おねしょをしたときに絶対にしからない

逆に病気として捉えるのであれば、自尊心を傷つけてしまうことのある病気という見方になりますので、予防の観点からすると、自尊心を傷つけないようにするということが目標ともいえます。

まずは、おねしょをしたときに絶対にしからないことです。

きっと、こどもがまだあかちゃんのときには朝起きておむつが濡れていてもしからなかったとおもいます。

この “しからない”を徹底しましょう。しかってしまう原因の多くは、年齢的にそろそろおねしょがなくなる時期といった情報や、まわりのこどもがおねしょしなくなったという情報が増えてきたことに起因する“あせり”“不安”“心配”です。

予防策② おねしょをしたときのこどものサインを確認しましょう

もうひとつの予防は、もし仮にこどもの自尊心が傷ついてしまった場合でも早く気付いてあげる事です。

これはおねしょを前にして表情変化がないか、おねしょに対するネガティブな発言がないか、気に留めておくとよいと思います。

逆にすでに気にしているこどもに、「気にしなくてよい」という言葉かけは避けましょう。

本人が気にしている=おねしょの状態がなくなって欲しいと思っているサインです。

かかりつけ医に相談をしましょう。

お話を伺ったのは・・・
千葉 幸英 (ちば  ゆきひで ) 先生
ドクターのクリニック詳細情報
東陽町はぐくみファミリークリニック
小児科、アレルギー科

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