最終更新日:2024年5月24日
ストレス性で心を病むとは?
「ストレスは万病のもと」といわれますが、なぜでしょうか?
人はストレスや葛藤を抱えると、そのストレス、葛藤に対して「戦うぞ」と態勢を整える防衛反応を行います。
自律神経は昼間優位になる交感神経と、夜間優位になる副交感神経のバランスで成り立っていますが、ストレスに出会うとこれを乗り切ろうとして交感神経が高まってきます。
血圧を上げ、血糖値を高めるなど戦闘モードに入ろうとするわけです。
ストレスを引き起こすもとをストレッサーと呼びますが、現代社会には仕事のこと、お金のこと、親子関係、健康問題、あるいはとくに女性にとっては体重の問題などいろいろなストレッサーがあります。
一方、副交感神経はリラックスしたり、内臓を働かせたりする神経ですが、ストレスで交感神経が高まると副交感神経の働きは抑制されます。
一過性のストレスならすぐに交感神経は収まりますが、つねにストレスが続いたりするとある時を境に交感神経は穏やかな環境にいても収まらなくなってしまうのです。
過覚醒
穏やかな環境でも交感神経が収まらない状態を、「過覚醒」といいます。
こうなると全ての感覚が鋭敏になってきて、疲れはすごく重く感じ、痛みもより強く感じます。
会社の上司の自分に対する評価とか表情といったものさえも鋭敏に感じてしまいます。そして、それまでストレスと感じなかったものをストレスと感じる悪循環が始まるのです。
ストレスがかかっていると、どんな症状が現れますか?
肩こりや口の渇きなど、身体に症状が現れます
問診で必ずチェックするのは肩こりと口の渇きです。
交感神経が高まれば力が入るので肩がこるし、唾液の分泌は副交感神経が関与しているので口が渇きます。
また副交感神経は、食欲や消化、眠りにも関係するので、ストレスがあると食欲不振や便秘・下痢、不眠などの症状も起こりがちです。
見かけはあまり変わらなくても、心は疲弊しています
しかし、心身の過労があっても見かけ上そう変わりがないということもあります。
もともとストレス反応には消耗性と興奮性の2つの要素があって、全体的に消耗が進んでいても、一方で興奮が高まっているので表面上は意欲や気分は変わらないところがあるのです。
しかし、この状態が続いて過覚醒となると、うつ状態の初期の自律神経症状を呈するようになります。
そうなることで、さらに消耗が進むみ、覚醒で補いきれなくなり、その結果作業能率の低下や欠勤、休業や、以前と同じ作業をしているのに時間がかかり過ぎるといった現象が現れるのです。
このような流れで、適応障害や、ストレス性のうつ病など心の病に陥ってしまいます。
つまり、人はストレスを受けると急に病むわけではなく、疲労を覚醒で見えなくなっている状態が潜在的に続くことにより、心身が疲弊し病んでいくのです。
うつ状態を防ぐ上手なストレスケアの方法は?
交感神経が過剰にならないようにうまくコントロールして、過覚醒を起こさせないことです。
ただ、自律神経は読んで字のごとく「自律した神経」なので、自分でコントロールすることは容易ではありません。
そこで自律神経は「目に見えない臓器」と考えてケアするとよいでしょう。
例えば配偶者に、「何となく表情が硬い」とか「食欲がない」、「笑顔がなくなった」とかいうことをチェックしてもらうなど、ペースメーカー役を作るようにします。
気分転換/スイッチングを行いましょう
また、気分転換を図る「スイッチング」という方法も有用です。
「自宅では仕事のことを忘れて」というふうに言われますが、職場からまっすぐ帰宅すれば、職場のオーラを保ち続けてしまうことになってしまいます。それなら帰宅途中でどこかに寄るようにすることです。
例えば私はサウナやジムが好きでしょっちゅう利用しています。交感神経と副交感神経の切り替えなど考えなくても、サウナにいけばサウナのモードに切り替わるので、仕事のオーラを断ち切ることができるわけです。
こうしたスイッチングの場をいくつか用意しておくと、そこに入ることで仕事の負荷を置いて来ることができます。
受動的・能動的な癒しを得ましょう
また家に帰ってからの癒しも、積極的な癒しと受動的な癒しを2種類用意しておくと良いと思います。
例えば疲れているけどまだ元気がある時は、ランニングやウォーキングなど積極的なものに取り組むとかなり発散できるでしょう。
逆に疲労困憊してそんな気力はないという時はマッサージとかエステなど受動的に施術してもらうだけですむものにすればよいわけです。
その状況に合わせて選択するだけで、自律神経のコントロールにつながり、ストレス性疾患を予防できることになります。
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