最終更新日:2024年2月29日

依存症

快楽と依存の関係

依存症とは、自分の意思でその行動、欲望をコントロールできなくなった状態です。

そもそも、薬物依存以外の行動依存形成は、ドーパミンが大きく関係しています。

ドーパミンは脳の「快楽物質」のひとつであり、快感、達成感、驚き、新しいことを行ったときにその報酬を与えるシグナルです。

よって、なんらかの行動をして楽しいなど興奮を感じたときにドーパミンが分泌されます。

ただ、このドーパミンの反応は異常なものではなく、一般の人もごく普通に起こる反応です。

楽しいことをしたら、当然ドーパミンが出て楽しい気分になるのです。

(厳密にいいますと、ドーパミンだけではなく、エンドルフィンなども関係しているのですが、ここでは割愛させていただきます。)

現代社会でどうして依存が増えているの?

では、なぜ、現代社会では依存が増えているのでしょうか。
以下に主な要因をご説明します。

強いストレス環境下では、快楽を求めて依存症に

まず挙げられるのは、現代人が常にストレスフルな社会で強いストレスにさらされていることです。

このドーパミンは、楽しい経験をしているときは、誰の脳でも分泌されます。特にストレス下でなければある程度抑制が働き、ドーパミンが出過ぎることはありません。

しかし、ストレスが強くかかる状況下では脳のドーパミンシステムが異常に活性化され、ドーパミンに対して耐性が生まれて、もっと強い刺激を欲しがるようになります。

その結果、脳はこの快楽を常に求めてしまうようになり、延々と同じ行動を繰り返してしまうのです。

そして、その欲求が自分自身でコントロールできなくなると依存症となってしまいます。

ギャンブル依存症では、一度に過剰な快楽を得ることが原因に

ギャンブル依存などがいい例です。

パチンコなどは、玉が出れば快楽物質が出ますが、必ず玉が出るとは限りません。

フィーバーまでは、我慢のしっぱなし、つまり、強いストレスにさらされます。その状態から、フィーバーを迎えると、一気にドーパミンが放出されます。

また、常日頃仕事などでストレスに見舞われている人ならなおさらです。

そのような、過剰なドーパミンの放出により耐性が生じ、同等の快楽を求めるようになり、依存が形成されます。

自己評価が低いと依存症になりやすい

そして、次に上げられる理由は現代人の自己評価の低さです。

依存自体は、精神的に安定しているときや、満たされているときには起きません。

依存には様々な種類がありますが、その根底に共通してあるものが、精神的不安定、脆弱性、自己評価の低さです。

現代人は、自己評価、自己効力が低い人が多いかもしれません。

その理由としては、現代社会では努力をしたからといって報われないことが多いからです。

例えば、有名大学に頑張って入ったとしてもその後の保証は無く、東大出のフリーターもいる。

また、会社でも、自分の上司も一杯一杯で余裕が無いので、たとえ部下が仕事で頑張りいい成果を出したとしてもそのことを褒めたり、認めてあげることが出来ない。

そのような環境下では、部下は、「頑張った結果成功できた」という「成功体験」をなかなか得られない。

成功体験の蓄積がないと当然、自己評価が上がる機会がなくなります。自己効力も同じです。

自己評価、自己効力が上がらないと、自分自身に自信がもてなく、依存的になりやすくなります。

買い物依存は、自分を高く評価してもらえることに依存している

買い物依存もその一例です。

会社や、家庭で自分が頑張ったとしても、なかなか評価してもらえない。

買い物依存は、以前は女性に多い傾向にありましたが、最近では男性の買い物依存症も目立ちます。

かつては、職場では女性は虐げられていて、仕事は男の世界などといわれていましたが、最近は、女性であろうが男性であろうが同じようになかなか達成感、成功体験が得られ難い状況です。

しかし、買い物は達成感が得られやすい。ブランド品依存などはわかりやすいものです。

ブランド品を買いに来て、ショップの店員の親切丁寧な接客をうけ、その商品を買う、また、そのやり取りをしている最中は無条件に自分が認められる時間です。自分の店に買いに来たお客を無碍に扱ったりはまずしませんからね。

ショップで買うという行為のみで、その購入したものを使うことが無くても低い自我がある程度満たされるのです。

さらに、その衣類、バックを身に着けるだけで無条件で知らない他者からの評価を受けることが出来る。

しかもそのシステムは単純でわかりやすい。買うという行動をおこなうだけで他者からの評価を受けるからです。

つまり、わかりやすい評価を、自分でコントロールできると感じてしまいます。

このように、買い物することで満たされない自我、低い自己評価を他者からの評価で満たそうとする。そして、一度その単純明快な快楽を得ると、根本が精神的不安定、脆弱性を帯びているためそこに依存してしまうのです。

完璧主義の人は依存症に陥りやすい

また、現代のように余裕が無い社会では、0か100か(all or nothing)の発想に陥りやすい。

悪い意味での完ぺき主義、幅の無い考え方をする人が増えてきています。

完ぺき主義の人は、成功体験がなかなか得られません。

理由は、そもそも物事を完璧に行うことなどはまず不可能だからです。

例えば、完ぺき主義でなく、物事に幅をもたせることが出来る人であれば、「今日の仕事は、これくらいできた。80%も出来た。」と考えることを、完ぺき主義の人は「あーあ、今日の仕事は20%も出来なかった。」と考えてしまう。

80%であったとしても、十分成功体験なのですが、完ぺき主義な人は20%達成出来なかったと”失敗体験”として捉えてしまいす。

つまり、加点思考と減点思考です。

完ぺき主義な人は、「ねばならない」思考から依存症に

このような人は、サプリメント依存症、健康食材依存症、に陥りやすいです。

大抵の人は、普段食べているもので、暴飲、暴食などをしなければ、ほとんどの場合健康をキープできます。

誰でも一度くらいは雑誌などで「このサプリメントを使うと、健康になる。」、「この健康食品を食べると病気にならない。」などの広告を見て、健康食品やサプリメントを試したことがあるはずです。

完ぺき主義で無い人は、「あ~、自分は健康に気を使っているなぁ。さっすが、わたし」というように、プラスで考えられます。

しかし、完ぺき主義な人は、「この健康食品が無くては病気になってしまう。」、「サプリメントをとらなければ健康を維持できない」などと「ねばならない」と考えてしまいます。

ここで勘違いしないで欲しいのは、完ぺき主義が一方的に悪いというわけではなく、自己評価が低い完ぺき主義が問題なのです。

拘ることは悪くないが、好ましい拘りと、好ましくない拘りを分別しないと苦しみのスパイラルにはまってします。

お話を伺ったのは・・・
立川 秀樹 先生
ドクターのクリニック詳細情報
パークサイド日比谷クリニック
心療内科、精神科

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