最終更新日:2023年10月13日
指変形性関節症(へバーデン結節、ブシャール結節)
- へバーデン結節
手指の第1関節(DIP関節)に生じる変形性関節症です。 - ブシャール結節
手指の第2関節(PIP関節)に生じる変形性関節症です。
どちらも手指関節に痛み、腫れが起こり、変形、可動域制限が起こる疾患です。
変形が進行し、関節が固定されることで症状は緩和することが多いですが、見た目が悪く悩まれる患者さんも多いようです。
原因
現段階で、原因は十分に解明されていません。
加齢、性別、遺伝的背景、作業内容、常用する嗜好品との関連はありそうです。
加齢により罹患率は上昇する
30歳代で10%程度、70歳以上の高齢者では50%以上が罹患しているという報告があります。
女性、特に40歳代以降に多く発生する
更年期障害などによるホルモンバランスの乱れも原因として注目されています。
また、女性のうち、85歳までに症状のあるヘバーデン結節が2人に1人できるという報告もあります。
遺伝的背景が関与する可能性がある
証明はされていないようですが、関与が考えられています。
手をよく使う人に多い
例えば、農作業、スマホ操作などです。
スマホ操作が手指の障害に関与するという報告があります。
小指でスマホを持つ動作とへバーデン結節が関与している可能性が指摘されています。
常用する嗜好品(カフェイン)との関連
へバーデン結節の発生にカフェインの摂取が関係するという報告があります。
症状
へバーデン結節
へバーデン結節では、手指の第1関節(DIP)に腫れ、痛み、変形(側方、屈曲)が起こり、動きも悪くなります。
DIP関節背側中央の伸筋腱付着部を挟んで2つのこぶ(結節)ができるのが特徴です。
同部位に水ぶくれのような出っ張り(粘液嚢腫:ミューカストシスト)ができることもあります。
変形の程度は様々であり、全ての人が強い変形になるとは限りません。
変形が進行して可動域制限が強くなると痛みも軽快することが多いですが、側方転位、屈曲変形といった変形の見た目に悩まされる患者さんも多いです。
ブシャール結節
ブシャール結節では、手指の第2関節(PIP)で同様の症状が出現します。
診断
- 診察
視診、触診にて、特徴的な部位、変形を確認します。 - レントゲン
へバーデン結節では第1関節(DIP)、ブシャール結節では第2関節(PIP)に変形性変化(関節裂隙の狭小化、破壊の有無、骨棘形成)を確認します。
関節リウマチ、乾癬性関節炎、痛風などとの鑑別が必要となる場合は、血液検査を追加で行うこともあります。
セルフチェック
指の第1関節(DIP)、第2関節(PIP)に痛み、発赤、圧痛、水ぶくれ、関節部のぐらつき、変形がある場合には整形外科医師に相談しましょう。
農作業、スマホ操作で指先に痛みが出やすい方も注意が必要です。
治療
保存的治療
まず行うべき治療は局所の安静です。
装具、テーピングの使用も考慮しましょう。
炎症を抑制する目的でアイシング、痛み止め、ステロイド注射なども急性期には有効です。
原因の1つに女性ホルモンの変動があると報告されており、成分が類似しているイソフラボン、エクオールなどのサプリメントの服用も注目されています。(保険適用外)
幼少時から豆腐、豆乳、納豆、きなこなどの大豆製品を摂取することが発症予防、症状改善につながる可能性も指摘されているようです。
外科的治療
保存的治療で痛みが改善しない、変形がひどくなり日常生活に支障をきたす場合には、手術も考慮されます。
稀に、整容目的で手術される方もいらっしゃいます。
手術方法は、こぶ結節を切除するものや関節を固定する方法、人工関節などが行われます。
また、最近では、保険適用外ですが動脈注入療法も注目されています。
へバーデン結節では第1関節周囲に異常な血管(もやもや血管)が出て、神経を刺激することで疼痛が出ます。この異常な血管を塞栓する治療です。
注意
水ぶくれ(ミューカストシスト)を針で穿刺することは感染の原因になりやすいので注意が必要です。
また、炎症が強い時期に関節を無理に動かしたり、強くマッサージすることは炎症を増悪させ、変形の進行を進める可能性がありますので、やめておきましょう。
予防
手指の第1関節(DIP)、第2関節(PIP)が痛む時には安静にしましょう。
仕事などで使用する場合には装具、テーピングがお勧めです。
関節部分を絆創膏、テープなでぐるっと巻くだけでも可動域を制限でき、効果があります。
指先に負担をかけない工夫
- ペットボトルを開けるときにオープナーを使う
- 指先で重たい荷物を持たない
- 靴を履くときに指ではなく、靴べらを使う
- ドア、タンスなどの開け閉めに注意する
- 庭いじり、農作業をする時には素手ではなく、手袋を使用する
- スマホを長時間使用する場合はリングなどの補助器具を使用して保持する
上記のように、普段から指先に過度な負担をかけることは避けましょう。
指先が変形してしまうと、治療は大変です。
炎症をコントロールして変形を最小限にするのがお勧めです。
カフェイン摂取にも気を付けてみましょう
その他、へバーデン結節の発生にカフェインの摂取が関係するという報告があります。
気になる方はデカフェ、カフェインレスのコーヒーに変えるなども考慮してみてください。
当院でできること
- 身体所見、レントゲン、エコー検査からの診断
- 投薬、注射、補装具を使用した保存的治療
- 専門スタッフによるリハビリテーション
- 手術術後の回復リハビリテーション
診断から治療、その後のリハビリまで患者さんの症状に合わせて対応しておりますので、ご相談下さい。
当院でできないこと
当院では、MRIでの精査、手術加療はできません。
必要であれば専門外来に紹介させていただきます。
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