最終更新日:2023年6月29日
なんだか耳が詰まってる!? 20代に多い低音障害型感音難聴とは
難聴をおじいちゃんやおばあちゃんたちの悩みだと思っている人は多いでしょう。
でも実は、シニア世代とはちょっと違う「低音障害型感音難聴」という難聴が若い人にも起こりうるのです。
症状や治し方、予防法などを日本橋大河原クリニック院長の大河原大次先生に聞きました。
「突然」「片耳」がキーワード。若者に多い難聴とは
低音障害型感音難聴はどのような症状が現れるのでしょうか?
「ある日突然、何の前触れもなく片耳に詰まった感じや耳鳴り、違和感などが生じ、めまいが起こることもあります。これらの症状が両耳に起こることはまずなく、片耳のみという点が特徴です。
この症状は低音を感じる神経に障害が生じ、低音部が聞こえにくくなることで起こるため、『低音障害型感音難聴』といいます」
突然聞こえにくくなるとのことですが、「突発性難聴」とはどう違うのでしょう?
「低音障害型感音難聴は独立した病気ではありません。難聴を起こす病気は『突発性難聴』と『メニエール病』に大別され、1回の治療で治れば突発性難聴、再発した場合はメニエール病とされています。
この2つの病気のうち、低音が障害されている“状態”を低音障害型感音難聴と呼んでいるので、症状を繰り返すか否かで突発性難聴かメニエール病か判断されます」
どのような人に多いですか?
「男女ともに20~40代が多いです。原因はまだはっきりしていませんが、患者さんからは『ストレスが溜まっていた』『寝不足だった』という声をよく聞きますので、ストレスフルな方に多いようです。
ただ、病気は何でもそうなのですが、ストレスは原因ではなく、引き金の一つにすぎません」
発症後は即病院へ!早期発見できれば飲み薬で治療可能
かかってしまったら、どのように対処すれば良いですか?
「早期発見・治療がカギです。発症から1週間以内に耳鼻科を受診して治療すれば、ほとんどの方が1週間ほどで治ります。2週間以内ならまだ間に合いますが、それ以上期間が空いてしまうと治りにくくなってしまいます。
しかし、この症状で聞こえにくくなる低音は、日常会話の周波数よりも低く、人の声や周囲の音が聞こえなくなることはありません。
痛みなどがあればすぐに病院に行くと思いますが、なんとなく耳が塞がった感じがするくらいで重篤感がないので、なかなか行かないのです。
『そんなこともあるかな』『今は忙しいから仕事が落ち着いたら病院に行こう』などと思って放っておくと、あっという間に2~3週間経ってしまいます。
簡単に治ったはずのものが治らなくなってしまう、残念なケースが非常に多いのです」
治療方法を教えてください。
「色々な方法がありますが、主な治療法は飲み薬です。
この症状の原因や、なぜ低音が障害されるのかはまだ明らかになっていません。
ただ、鼓膜よりも奥にある『内耳(ないじ)』の障害であることはわかっており、内耳に働きかけるステロイド薬やビタミンB12、イソバイドというシロップの薬などを処方します。
程度のひどい人は入院することもありますが、多くの場合は不要です」
基本はストレス対策。耳鼻科に行けばOKと楽観的に考えよう
予防するためにはどうしたら良いのでしょう?
「感覚器である聴覚はメンタルの影響を受けやすいので、やはり疲れやストレスを溜めないことは基本です。
ただ、『明日からストレスを溜めないでください』『寝不足にならないよう、毎日21時に寝てください』なんて言っても、実際は無理ですよね。なので予防法よりも、発症したらすぐに病院に来て対処することがポイントです。
また、再発してしまった人は『1度改善したのにまた悪くなってしまった』という事実や、『これからも繰り返すのでは』と思い悩んでしまうこともストレスになります。
再発してもすぐに耳鼻科を受診すれば1週間ほどでまた良くなると、ポジティブに考えるようにしましょう」
実は筆者も、低音障害型感音難聴になってしまった一人。治療の末に耳の詰まり感や違和感はなくなったものの、発症に気付くのが遅かったためか、耳鳴りが少し残ってしまいました。
若者にも難聴は起こるということを知って、おかしいと思ったらすぐに耳鼻科に行ってください。周りに「なんだか耳が変」という人がいたら、この難聴のことを教えてあげてくださいね。一人でも多くの人が完治しますように!
(五十嵐綾子+アリシー編集部)
掲載元:アリシー
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耳が聞こえづらくなったり、耳鳴りがする(難聴)ということでお悩みの方は多いかもしれません。
そうした症状は加齢によるものもありますが、場面によってさまざまな症状が出る場合もあります。
耳鳴りや難聴はお薬や体調管理で十分にコントロールできる病気です。
しかし、放っておくとだんだんと聴力が低下し、耳鳴りや難聴が残ってしまうこともあります。
お悩みの方は早めに検査を受け、原因を調べてみましょう。
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