鼻中隔弯曲症Q&A
- 鼻中隔(びちゅうかく)弯曲症と診断され、手術をすすめられました
どんな手術ですか? - 55歳、男性。10年前からいつも鼻づまりに悩まされています。
耳鼻科では、アレルギー性鼻炎といわれ点鼻薬を使用しましたが、一時的にしかよくなりません。
先日病院でレントゲンをとったところ、鼻中隔弯曲症と診断され、鼻中隔矯正(きょうせい)術をすすめられました。
手術で改善されるのでしょうか?手術法も含めて教えてください。
- 鼻中隔の曲がった軟骨を取り除く手術で
強い鼻づまりの改善も期待できる - 鼻中隔弯曲症は左右の鼻を分け隔てている衝立(ついたて)(鼻中隔)が曲がっている病気です。病気といいましたがまっすぐな人はほとんどおらず、多かれ少なかれ曲がりはどの人にもあります。
鼻中隔は、中心が軟骨で両面が粘膜で覆われており、その弯曲の程度が強いと鼻の中が狭くなり、鼻づまりに悩まされることになります。原因は鼻をぶつけるなどの外傷性のこともありますが、多くは成長期に鼻中隔軟骨と周囲の骨の成長のズレから、硬い骨がやわらかい軟骨を圧迫することで、弯曲がおこってきます。S字状に曲がったり、片方に強く曲がったりとさまざまです。
症状としては鼻づまりで、鼻汁やくしゃみはおこりません。しかし、ご相談の内容からアレルギー性鼻炎もあるとのこと。粘膜が腫れ、強い鼻づまりや、鼻水、くしゃみの症状があるようですから、おつらいことでしょう。
鼻中隔弯曲症は、耳鼻科専門医が鼻の中を診察するとすぐに診断できます。治療に関してですが、残念ながら曲がった軟骨は薬では治らず手術が必要となります。
手術は鼻の入り口から1cmほど奥で行います。曲がった部位の軟骨のみを取り除き、表面の粘膜は残すので、穴が開くこともなく鼻の外観上も変化はおこりません。
アレルギー性鼻炎がある人はいっしょに肥厚した粘膜を切除する下鼻甲介(かびこうかい)切除術も行うとより効果は高く、鼻水やくしゃみも改善します。手術時間は1時間程度で、約1週間の入院が必要です。点鼻薬や内服薬はある程度の改善を見込めますが、効果は一時的なので、薬をずっと使いつづけるのがわずらわしい人、症状の強い人には手術をおすすめします。手術効果は、ほぼ一生ものと思っていただいてよいでしょう。
鼻中隔弯曲症は、鼻づまりが原因で集中力を欠いてしまったり、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因になることもあります。また、鼻呼吸ができないことから有酸素運動に影響が出る、という理由で手術を受けるスポーツ選手もいます。耳鼻咽喉科専門医で、手術のできる設備があれば可能ですので、よく相談してから、手術を受けられることをおすすめします。
(Health&Life2014年8月号に掲載)