若い人にも多い難聴1 突発性難聴
毎年、3万人~4万人も発症している突発性難聴は、その名のとおり、突然、聞こえにくくなる病気です。
原因不明だがウイルス説、血流障害説などがある
「突発性難聴」は年間3万人~4万人が発症するといわれ、誰にでもおこり得る病気です。音を聞くとき、中耳の耳小骨から伝わった振動は内耳の蝸牛のリンパ液に伝えられ、有毛細胞という細胞を振動させて、脳へ伝わる電気信号へと変換されます。突発性難聴は、この有毛細胞が障害されることでおこります。何らかのウイルスが原因という説と、血流が悪くなっておこるという説があるものの、なぜ、そうなるのか原因はいまだに不明です。
しかし、症状のおこり方はわかりやすく、ある日突然、片方の耳が聞こえにくくなります。耳鼻咽喉科に受診した突発性難聴の患者の多くが、いつ、どこで、何をしているときに症状が始まったのかを具体的に説明できるほどです。
耳が詰まったような感じのほか、耳鳴りやめまいを伴う人もいます。
できれば1週間、遅くても2週間以内に受診を
症状が劇的に現れるので、すぐに受診すればよいのですが、まったく聞こえないわけではないために、「おかしいな」と思いながらも、放置しがちです。しかし突発性難聴は、感音難聴のなかでも治りにくく、治療開始までが長いほど、聴力が戻りにくくなります。
受診のベストなタイミングは、症状が現れてから2日以内ですが、できれば1週間以内、遅くても2週間以内に受診しましょう。めまいを伴う場合、内科に受診しがちですが、内科では突発性難聴の診断がつきにくいのが現状です。耳の聞こえに問題がある場合は、耳鼻咽喉科に受診しましょう。
感音難聴の治療は副腎皮質ホルモン薬などののみ薬が中心
感音難聴の治療は、のみ薬が中心で、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)、利尿薬、ビタミン薬、血流改善薬などが使われます。副腎皮質ホルモン薬は、副作用が心配などといって、服用を控えようとする人もいるようです。
しかし、耳鼻咽喉科での副腎皮質ホルモン薬の継続服用は1~2週間程度なので、副作用が出ることはまずありません。勝手に服用を中止するとかえって悪化する危険もあるので、医師の指示に従って服用しましょう。
知っておきたい突発性難聴の特徴
- いつ、どこでおこったのかわかるほど、劇的に症状が現れる
- まったく聞こえないわけではなく、耳が詰まったような感じになる
- 片方の耳だけにおこる
- 耳鳴りやめまいを伴う人も多い
- 一度治ったあとは再発しない
(JUST HEALTH 2013年3~4月号「特集 健康度アップガイド」に掲載)