滲出性中耳炎Q&A
- 耳に水が溜まり手術を勧められる
体への影響はないでしょうか - 6歳の息子。耳の腫れと痛みのため耳鼻科を受診し、症状は落ち着いたものの、水が溜まっているとのこと。点鼻治療薬を1週間使用しましたが変わりません。飛行機に乗る予定があり、手術(全身麻酔)を勧められています。体への影響はないでしょうか。(愛知県 37歳 女性)
- 滲出性(しんしゅつせい)中耳炎が考えられる
内服薬や点鼻薬で改善しない場合手術も検討 - お子さんは急性中耳炎から滲出性中耳炎になっているようですね。子どもにとても多い病気で、かぜが原因で起こります。かぜをひいて鼻や喉に炎症を起こし、鼻の一番奥にあり耳と鼻をつないでいる耳管という器官のはたらきが弱くなることで、細菌が中耳に至り、痛みや腫れを起こします。夜中に急に耳を痛がって泣きだすようなことを、何回か経験しているのではないでしょうか。
薬などの治療で炎症が落ち着くと痛みはおさまりますが、鼓膜の内側に膿や液体が残ってしまい滲出性中耳炎に移行します。痛みはありませんが難聴が起こります。太鼓の中に水が溜まっている状態で叩いても響かずいい音がしないように、鼓膜の内側に膿(うみ)などが溜まっていると聞こえにくいという状態です。放っておくと難聴だけではなく、子どもの場合、知能や集中力、言葉の発達に影響が出ることもあるので、きちんと治療をすることが必要です。
お子さんのように滲出液が溜まったままで飛行機に乗ると、気圧の影響で航空性中耳炎になり強い痛みや腫れ、鼓膜に穴が開いて耳だれが出てしまう心配があります。
通常は内服薬や点鼻薬で治りますが、改善しない場合は鼓膜に小さな穴(2~5mm程度)を開け、圧を抜いて滲出液を吸い取る鼓膜切開術が必要になることがあります。数分で終わる手術ですので局所麻酔でもできますが、お子さんに恐怖心を植えつけないために、全身麻酔を選ぶこともあります。短時間の麻酔なので全身への影響もほとんどないため、主治医とよく相談して治療方針を選ぶとよいでしょう。
(笑顔 2014年8月号に掲載)