妊娠糖尿病(GDM)は、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常で、妊娠前に診断された糖尿病や、「妊娠中に診断された明らかな糖尿病」は含みません。
妊娠前に糖尿病と診断されていた人の妊娠は「糖尿病合併妊娠」といいます。
「糖代謝異常」の分類は成因分類を主体とし、インスリン作用不足の程度に基づく病態(病期)を併記することになっており、下記の4つに分類されます。
妊娠糖尿病診断基準は2010年に大きく変化し、世界共通の診断基準が提唱されました。
そこで妊娠糖尿病は「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である」と定義され、妊娠時に診断された明らかな糖尿病は含めないことになりました。
従来の基準では妊娠糖尿病(GDM)の中に紛れていた「明らかな糖尿病」を除外するとともに、産後早期の2型糖尿病へと移行する可能性の高い「ハイリスクGDM」を通常のGDMと区別することで、それぞれに適切なケアをしていこうということになりました。
GDMのうち、2時間値が200mg/dl以上の場合には次に述べる「明らかな糖尿病」の基準に照らし合わせ判断し、このときHbA1cが6.5%未満であればハイリスクGDMに分類されます。
妊娠時には初期と注記にスクリーニングをします。その結果が妊娠糖尿病の基準よりも高いものが「妊娠時に診断された明らかな糖尿病」と診断されます。
妊娠中・産後を通じて妊娠糖尿病の人より厳重な管理とフォローアップが必要となります。
血糖の厳重な管理が最も大切で、食前100mg/dl未満、食後2時間120mg/dl未満になるように管理します。妊娠中は運動療法があまりできない為、まず食事療法を行います。
食事療法では、母体と赤ちゃんがともに健全に妊娠を継続でき、食後の高血糖を起こさず、空腹時のケトン体産生を亢進させないよう配慮します。
4〜6分割食にしても血糖管理できない場合は、赤ちゃんに悪影響を与えないインスリン注射を用いて管理します。
妊娠が進むにつれ、インスリンの使用量が増えますが、産後には減量あるいは中止できるので、心配しないようにしましょう。
当院では患者様一人ひとりのケースに沿って臨機応変な診療を心がけています。
糖尿病合併妊娠や妊娠糖尿病(GDM)のケアには、妊娠中ならではの母体の変化をよく認識する必要があります。
通常の糖尿病と違う点は常時高血糖状態にさらされるのではなく、「空腹時低血糖かつ食後高血糖」になるという特徴があります。
空腹時低血糖となる要因は、胎児が栄養を取りこむことにって起こり、食後高血糖は胎盤から産出する成長ホルモンや性ホルモンなどのインスリン抵抗性ホルモンの影響で起こるといわれています。
妊娠28週以降は特に胎児の成長により旺盛な栄養取り込みが起こる為、顕著に空腹時低血糖が現れます。妊娠糖尿病(GDM)の新基準で、空腹時血糖値が92mg/dlと、通常の耐糖能異常の基準よりも低く設定されているのもこのためです。
こうした背景から、妊娠中の血糖コントロールは一般的な糖尿病の血糖コントロールとは分けて考える必要があります。
当院では患者様の安心に繋がるよう医師、スタッフ共に定期的に勉強会を開き、実際の診療においては患者様毎の細かな治療計画の下、それぞれの特性を活かした診療を行っております。
大事なインスリン療法に関しては世界で最初に発売された実績、豊富な積み重ねられた情報があり、唯一発売当初よりFDA(アメリカ食品医療品局)の胎児危険度分類でカテゴリBに分類されている
イーライリリー社のヒューマログ注を使用しています。
また当院では糖尿病の方の妊娠希望、妊娠糖尿病の方へ「日本糖尿病・妊娠学会」の作成している「糖尿病と妊娠に関するQ&A」という冊子をご用意しております。
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