肛門疾患の診察手順と手技について

痔というのは、肛門周辺の病気の総称です。

一般に、痔核(いぼ痔)裂肛(切れ痔)痔ろう(あな痔)の3つを指し、成人の3人に1人が痔持ちともいわれるほどよくある病気です。

女性は、半数以上が痔核(いぼ痔)、次に裂肛(切れ痔)が多く、痔ろう(あな痔)は男性に比べて少数です。
女性の場合、慢性的な便秘や妊娠・出産が原因となることが多いようです。
また、立ちっぱなし、座りっぱなしの仕事やストレス、冷えなども痔を悪化させます。

痔だと思っていたら大腸がんや大腸ポリープなど他の病気だったということもあります。
自己判断せず、医師の診察を受けるのが安心です。

診察の手順と手技についての説明

1.診察の前には

診察前には、できるだけ排便を済ませてください。
便秘の方は、浣腸や下剤を使って無理に排便する必要はありません。

下痢となったり、自己浣腸のために粘膜を傷つけると、かえって診察の妨げとなります。
検査のために直腸鏡やS状結腸ファイバーを施行する時に、便がたまっている場合は病院で浣腸いたします。

朝食は普通にとってもかまいません。また、女性の場合生理中でも診察に差し支えありません。
症状の強い時期に受診された方が、診断は容易です。

2.診察の手技と体位

診察台に上がり、臀部のみ露出して診察を受けます。

診察は、目で見る視診、指を肛門に入れて診る指診や、肛門鏡という器具を入れての診察があります。
肛門に入れる指や器具には、局所麻酔のゼリーをつけて、傷などがある場合に痛みを和らげる工夫がされています。 肛門内に指や器具が入ったときに肛門に力を入れないようにすると、診察が容易です。

診察時の体位

シムス体位

左下にして横向きに寝ます。膝は軽く曲げ、やや右足を強く曲げる体位です。
陰部が露出しないので、羞恥心は少ないのですが右側の臀部を引き上げる必要があり、観察や砕石位と比べて難しい。

この体位は、もっとも恥ずかしくないので、女性に行ってもらいます。欠点としては、おしりが大きい人や、肛門が深い人では肛門部が展開されないので、助手に臀部を引っ張ってもらう必要があります。

肛門の治療

肛門の病気の8〜9割は薬による治療や食事・排便指導で改善します。
しかし、病状によっては手術が必要なこともあります。

肛門の手術

日帰り手術、2〜3日の短期入院や1週間から10日前後の入院まで病状によりさまざまです。
手術に合わせて麻酔も、局所麻酔、仙骨硬膜外麻酔、腰椎麻酔などを選択します。
手術はうつ伏せになって、開脚した状態で行います。
手術時間は5分前後の小手術から20〜30分(麻酔の時間も入れて30〜45分)ほどかかるものまであります。

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