最終更新日:2024年4月5日
五苓散の効果・作用・副作用
作用・特徴
五苓散はむくみや頭痛、めまい、下痢などに効果があり使用されます(図1)。
図1 五苓散の作用と効果
五苓散は低気圧時の頭痛に有効であり1)、頭痛を伴うめまいにも効果があるため2)、気象病・天気痛にも使用されます。
また、女性の月経前の体のむくみを軽減し、月経前症候群の頭痛を改善することが報告されています3)。
使用目標(証)は、口渇ならびに尿利減少を主目標として用います(図2)。
- 1)浮腫、悪心、嘔吐、頭痛、めまいなどの症状を伴う場合
- 2)心窩部に振水音を認める場合
図2 五苓散の東洋医学的使用目標
五苓散はアクアポリンという細胞の膜にある、水の通過を調整するトンネルのようなタンパク質に作用し、体内の水分のバランスを安定させる効果があります。
また、炎症を抑える効果があることもわかってきています4)、(図3)。
図3 五苓散の水分代謝調整と抗炎症作用のメカニズム
五苓散は以下の生薬から構成されています(図4)。
- 沢瀉
- 蒼朮
- 猪苓
- 茯苓
- 桂皮
図4 五苓散の構成生薬
剤型
医薬品のツムラの漢方薬(17番)は1包顆粒2.5gとなっています(図5)。
図5 五苓散の剤型(ツムラ医療用)
効能・効果
口渇、尿量減少するものの次の諸症がみられます。
- 浮腫
- ネフローゼ
- 二日酔
- 急性胃腸カタル
- 下痢
- 悪心
- 嘔吐
- めまい
- 胃内停水
- 頭痛
- 尿毒症
- 暑気あたり
- 糖尿病
用法・用量[ツムラ五苓散(医療用)]
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に内服します。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減します。
副作用
頻度は不明ながら以下が挙げられています。
- 発疹
- 発赤
- そう痒
- 肝機能異常
参考
- 1) 灰本 元. : 慢性頭痛の臨床疫学研究と移動性低気圧に関する考察-五苓散有効例と無効例の症例対照研究. フィト, 1 : 8-15, 1999.
- 2) 石田 和之. : 神経内科に役立つ漢方薬 : 症例と頻用処方. 臨床神経学, 53 : 938-941, 2013.
- 3) 永嶺 宏一, 喜多 敏明. : 月経前症候群の頭痛に五苓散の併用が有効であった14症例. 漢方と最新治療, 26 : 305-311, 2017.
- 4) 礒濱 洋一郎. : アクアポリンを介した五苓散の2つのメカニズム. 漢方医薬学雑誌, 23 : 2, 2015.
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