最終更新日:2021年6月29日
うつ状態と怠けの違い
患者さんやご家族、そして産業医先から「これは、うつなのでしょうか?それとも、怠けなのでしょうか?」と質問されることがあります。
そもそもうつ病とは?
まず、うつ状態の簡単な説明をします。
当医は、2つの学校で、精神医学を学生に教えていますが、「うつ」とは、下の2つの成分から成り立っていると説明します。
「抑うつ気分」と「意欲の低下」です。
抑うつ気分とは、「気分が落ち込む」、「気分が重い」、「悲しい気分つづく」、「鬱々としてしまう」、「気持ちが晴れない」などです。 意欲の低下は、「やる気がしない」、「やろうとしても行動に移せない」、「外出が億劫だ」、「家事や、入浴すらできない」などです。
出てくるか、なくなるか
そして、それらは、「ないものが出てくる」成分と、「あるものがなくなる」成分であると教えます。
抑うつ気分とは、普段心にはありません。しかし、うつ状態になったら出てきます。
逆に、意欲とは普段心にあるものなので、うつ状態になったら出なくなります。
しかし、これだけでは、うつ状態と怠けの違いは説明できません。
怠けの場合でも、軽い億劫感や、鬱々とした気分になると訴える方はいます。もちろん、程度の差はありますが。
脳疲労の有無
当医が考える、うつ状態と怠けの違いは、「脳疲労の有無です」。
まずはストレスに立ち向かおうとする
うつ状態になるには、まず様々なストレスに対して、心が葛藤します。
つまり、「嫌だなぁ」、「辛いなぁ」、「なぜ自分だけこんなつらい目に・・・」、「仕事が多すぎて手に負えない、辛い」など心が苦しくなります。
そのストレスに何とか立ち向かおう、適応しようとして、自律神経の交感神経が高まります。
限界を迎えてしまう
そして、その状態が長く続くと「過覚醒状態」(詳しくは過覚醒のコラムで)となります。
つまり、心のレベルから末梢神経レベル(自律神経)にまで及びます。
そして、過覚醒が続くと、脳(中枢神経)というバッテリーが放電しっぱなしとなります。
脳というバッテリーは放電と充電を繰り返すのでその機能が保たれます。
しかし、放電しっぱなしで充電でいない状態となると当然「脳疲労」を生じます。
この脳疲労の結果、「抑うつ気分」、「意欲の低下」が出てくることが「うつ状態」と考えます。
つまり、うつ状態と怠けの違いは、葛藤 → 過覚醒 → 脳疲労という一連の流れの有無です。
怠けはストレスに立ち向かわない
怠けの場合は、この流れがなく「鬱々とする」、「やる気がない」などの訴えが出てきます。
脳が疲れていないのです。
ここで一つ注意が必要なのですが、内因性のうつ病(ストレスの影響がなく発症するうつ病)や、更年期障害、甲状腺機能低下症、産後うつ病、季節性のうつ病などは、葛藤→過覚醒→脳疲労という流れがなく突然発症することもあります。
であるので、「うつなのかなぁ、怠けなのかなぁ?」と悩まれた場合は、ご自身や周りの人だけで判断せずに、専門家へ相談されることをお勧めします。
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