最終更新日:2021年5月13日
甲状腺、副甲状腺疾患と遺伝
<1>甲状腺腫瘍性疾患(遺伝性腫瘍)
甲状腺に発生する遺伝性腫瘍は、主たる病変が甲状腺腫瘍である場合と、症候群などに随伴し、主たる病変が他臓器に存在するものとに大別されます。
(1)主たる病変が甲状腺腫瘍である場合
① 遺伝性甲状腺髄様癌(多発性内分泌腫瘍症2型:MEN2)
RET遺伝子変異により発生し、優性遺伝形式をとります。
家族スクリーニングにより、未発症家族の早期治療につながります。
副甲状腺や副腎に病変を併発する多発性内分泌腫瘍症2型を呈することがあります。
② 遺伝性非髄様性甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌)
発端者も含め第一度近親者(両親、兄弟姉妹、子供)に2名以上の非髄様性甲状腺癌患者が存在し、かつ明らかな症候群を伴わないものと定義されています。
3名以上であれば、95%以上は遺伝性と報告されていますが、2名の場合は、過半数で散発性(非遺伝性)との報告もあります。
明らかな原因遺伝子は同定されておりませんので、髄様癌のような遺伝子検査はできません。
③ ホルモン合成障害性甲状腺腫
腺腫様甲状腺腫の中には、稀ではありますが、遺伝子異常を伴うものが知られています。
劣性遺伝形式で、甲状腺機能は、低下する場合と、正常の場合があります。
難聴を伴う場合には、ペンドレッド症候群と呼ばれます。
(2)症候群などに随伴する甲状腺腫瘍
家族性大腸ポリポーシス、カウデン病、カーニー複合(1型)、ウェルナー症候群などで、甲状腺腫瘍の合併頻度が高いとされています。
<2>甲状腺機能性疾患
バセドウ病や橋本病は、自己免疫疾患で家系内集積の傾向はありますが、特定の遺伝子によって発症するわけではありません。
現時点では、遺伝子検査で発症を予測、あるいは発症後の寛解予測を行うことはできません。
甲状腺ホルモン不応症は、β型T3受容体(TRβ)の変異を病因とし、診断のための遺伝子検査が有用です。
<3>副甲状腺疾患
原発性副甲状腺機能亢進症のうち、複数の副甲状腺腫大を認め、下垂体腫瘍や膵臓の腫瘍を合併する場合は、多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)の可能性があります。
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