最終更新日:2021年2月17日
羊水検査について
羊水には赤ちゃんの細胞が含まれています。
そのため羊水を採取して、羊水中に含まれる赤ちゃんの細胞を調べ、赤ちゃんの染色体異常の有無を調べる検査が羊水検査です。
羊水検査は確定的検査になるため、コンバインド検査やNIPTのような確率を計算する検査ではなく、診断するための検査になります。
検査時期
妊娠15週以降になります。
羊水検査の方法
エコーにて羊水ポケットの位置を確認しながら、エコー(超音波)で胎児を見ながら細い針を穿刺(せんし)し、羊水を採取します。
羊水中の赤ちゃんの細胞を培養して染色体異常を確認します。
羊水検査後の流産
羊水検査後の流産リスクは、一般的に0.5%(1/200)から0.3%(1/300)と言われています。
しかし、これはリアルタイムでのエコーガイド下での検査を行う以前からの数値のため、現在における検査後のリスクが0.3%~0.5%にはならないのではないかと言われています。
最近の報告によると、羊水検査後の24週までに羊水検査の手技に関係して起こる流産リスクは0.11%であると報告されています。
羊水検査による母体合併症
生命を脅かすような母体合併症は非常に稀です。
およそ1000人に1人は羊膜炎をおこし、流産してしまう可能性はありますが、その場合でも母体の生命を脅かすことはほとんどありません。
一方で、2~3%の妊婦さんは羊水流出や出血を経験されますが、一時的なことが殆どです。
また、羊水検査直後の子宮収縮に伴う痛みを経験することがありますが、殆どは経過を診ているうちに消失します。
羊水検査で確認できる項目
羊水染色体分析にはいくつかの方法がありますが、最も多く実施されているものはG分染法と呼ばれています。
G分染法では、羊水中の赤ちゃんの細胞が検査の対象となりますが、細胞数が少ないため、培養して細胞の数を増やします。
細胞が十分に増えた時点で、染色体の形態的特徴が識別できる時期の細胞を選び、染色体を染色液で染めます。
そして、顕微鏡下にて染色体を観察します。
G分染法は、染色体の数の変化や構造の変化などを調べることができ、 診断的検査と位置づけられています。
羊水検査で確認できない項目
小さな構造異常(微笑欠失など)はわからないことがあります。
また遺伝子レベルの違いについても検出することはできません。
また、1人の赤ちゃんが異常な染色体を持つ細胞と正常な染色体を持つ細胞との両方を持っている場合があります。
異常と正常の両方の細胞が見つかればモザイクの診断が可能です。
一方培養した場合に正常の細胞のみ検出された場合は、出生後にモザイクの赤ちゃんであることがわかる場合があります。
染色体異常は赤ちゃんが持って生まれてくる病気の4分の1程度でしかなく、全ての病気についてわかるわけではありません。
また、染色体異常を持っている場合でも、合併症などには個人差がありますが、それらについても評価することはできません。
羊水検査の流れ
事前の体調確認
お母さんの体調に特に問題がないことを確認し、検査を開始します。
エコーによる確認
エコーで赤ちゃんの位置と胎盤の位置を確認して、穿刺部位を確認します。
羊水の採取
消毒をして、再度エコーを見ながら針を進めていき、羊水腔内に挿入できたところで羊水を20ml程度採取します。
穿刺針を抜去し検査は終了です。
回復、再度のエコー検査
暫く休んでいただき、特に気になる症状がなければ再度、エコーで赤ちゃんや胎盤の様子を観察して帰宅となります。
検査結果について
検査結果はおよそ2週間程度でわかります。
来院していただき、説明をします。
稀に、羊水中の赤ちゃんの細胞が十分に増えず分析ができずに、結果を報告できない場合があります。
絨毛検査と羊水検査との比較
羊水検査の実施は妊娠15週頃からですが、絨毛検査は妊娠11週から13週で実施することが可能な為、スクリーニングでハイリスクの結果が出た場合比較的待たずに検査を受けることができ、この点が絨毛検査の利点と言えます。
絨毛検査は胎盤の組織を採取する為、胎盤の細胞と赤ちゃんの細胞の染色体核型が同じであれば問題ありません。
しかし、胎盤と赤ちゃんの染色体核型が異なる場合があります。
これは、胎盤モザイクと言われ、絨毛検査の結果は胎児の染色体を反映していないことになり、絨毛検査の結果は赤ちゃんの予後を示すものでは無いことになります。
その場合は、羊水検査で胎児の染色体を評価する必要があります。
染色体異常の種類によっては特に注意すべき場合もあり、超音波検査の所見も踏まえた上で、どちらの診断的検査を受けるかを決めることになります。
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