植野院長のひとり言
日本脳炎の予防接種ってやるべき?
日本脳炎ワクチン接種後にみられた“急性散在性脳脊髄炎”にかかった方に、国が被害認定をしたことが報道されてから、日本脳炎の接種についての質問が増えています。
3年前までは現在の“三種混合ワクチン(*1)”のように、ほとんどのお子様が当然のように日本脳炎の接種していました。
ところが2005年5月に日本脳炎ワクチン接種後にみられた“急性散在性脳脊髄炎”という病気にかかった方に対して、国が被害認定をしたことが報道され、国が現行の日本脳炎ワクチン接種を差し控える通知を出し、現在の混乱に至っています。
“ワクチン接種”と“急性散在性脳脊髄炎”との因果関係は証明されていないにもかかわらず、マスコミを中心に日本脳炎ワクチンが原因であると思われるような報道がなされ、接種者の激減をみとめ、医療現場では患者の発生を心配していました。そして接種が控えられて2シーズン目の2006年9月に熊本県で3歳児が日本脳炎を発症したとの報告がありました。
予防接種の効果もあり、2000年以降日本脳炎の発症は中高年を中心に年間10人未満まで減少していましたが、今後小児を含め発症が増加していく可能性があります。
近年忘れられていた感のある日本脳炎という病気は日本では死亡率17%、後遺症率48.5%に達する重症疾患です。また東南アジア、中国、インドなどでは毎年数万人の患者発生が見られ、アジア方面への旅行者の増加に伴い、いまだ危険な病気といわざるを得ません。
2007年5月に国は日本脳炎の定期接種が可能であることを再度通知し接種をうながす方向にありますが、接種者の激減によりワクチン業者側が生産ラインを中止するなどの影響でワクチン不足が生じています。新たなワクチンが現在開発中ですが、発売までにはあと2年〜数年を要するようです。
様々な問題点がある日本脳炎ワクチンですが、現時点での選択としては長期間の九州地方や東南アジアへの滞在の機会があるお子様には少なくとも日本脳炎の基礎免疫をつけておくことをお勧めします。
ただ前述のようにワクチンの不足は深刻で、接種を希望する際にはワクチンの取り寄せまでにかなりの時間を要したり、最悪の場合接種できないことも考えられます。
2008年5月頃に現在残っているワクチンが発売される予定です。ご希望の方は早めに接種をすることをお勧めします。
日本脳炎ワクチンの疑問等がありましたら、診察時にご質問ください。
*1三種混合ワクチン
…ジフテリア、百日咳、破傷風の3つの病原菌に対するワクチン。

